シナリオ



今夜こそお手紙を書かなくてはならないというのに元気が出なくって
ペンをとってからそろそろ何時間だろう
終止符の打ち方ばかり考えている
字のきれいな鬱病のおじいさんから若い頃の日記をいただいた
遺書にその旨が残してあったらしい
こういうのが人間の完璧な死に方だと思った
秒針のうるさい時計
毎晩毛布をかけて読み耽る数冊のノート
「ほんとうは彼は純粋だった」
こんなシナリオを生むために彼はどうしても死ななければならなかった
これは悲劇です
私もまたそうであるということを彼はついに一度も知ることはなかった
日記に私は一度も出てこなかった















back

女の子お絵かき掲示板ナスカiPhone修理